90歳を迎える祖母が体調を崩してしばらくたった。入退院を繰り返し、また先週から病院でお世話になっている。
みるみる痩せ衰えていく姿を見るのは本当につらい。しかし、わが祖母はちょっとやそっとではへこたれない。
最初に入院した時に病院へ駆けつけた私に言った一言は、「もうあかんわ」だったが、次に続いたのが、「腹が減ってしようがない」。見事としか言いようがなくて笑ってしまった。
不思議と祖母があの世へ旅立つ気がしない。ずっと「腹が減った」と言っていそうだからだ。まったく頑丈である。
大正―昭和前半生まれの人々は現代っ子よりも強い。幾多の戦争、そして、食糧難の時代を知っているからだ。誰よりもご飯をおいしいと感じ、食欲も旺盛。祖母も元気なころは漬物と味噌汁でお茶碗2膳を平気で食べた。
今になっていろんな知識を身に付け、彼らの偉大さがよくわかる。生き証人である祖母から、もっともっと学ぶべきことが見えてきた。
おばあちゃん、これからもたくさん話を聞かせてね。きっとそれを次代へつないでいくから。(森田靖久)