ヘビの一種とされる未確認生物ツチノコ。「巳年」に関する話題を探していた時に、篠山市後川で目撃されていたという情報をキャッチした。その響きに懐かしい思い出がよみがえった。
わが故郷の村でも、約20年前に目撃された。しかも、私の家の2軒隣りで。
通称「いーちゃん」の家に現れたツチノコは、犬と戦った末、山へ逃げていったらしい。そして、わが村にツチノコ旋風が巻き起こった。
私も含め、そろいのツチノコTシャツを着た老若男女は山へ繰り出した。テレビ局もやってきた。懸賞金もかけられた。
しかし、追えども追えども、奴は姿を見せなかった。時は過ぎ、「ツチノコの里」看板も朽ち果てた。
でも私の中には、あの出来事が鮮明に焼き付けられている。みんなで騒ぎ、笑い、とても楽しかった。
奴がどこかでひょっこり顔を出した時には、きっとまた旋風が起こる。そして、たくさんの笑顔が生まれるはずだ。
騒ぎと笑顔を運ぶツチノコ。馬鹿と言われてもいい。今でも奴が山を転げまわっていると信じたい。(森田靖久)