家紋

2013.03.16
未―コラム記者ノート

 気の抜けたような顔の鳥、くるっと丸まった胴体。これがわが家のシンボルだ。
 用があって森田家の家紋を調べることがあった。昔から仏間に飾ってあるこのマークを見て育ったが、「変な鳥」くらいにしか思っていなかった。調べてみるとちゃんと名前がある。「丸に結び雁金(かりがね)」。雁は古来、「幸せを運ぶ鳥」として知られていたようで、雁紋を使用した武家も多い。有名どころで言えば、織田信長の重臣、柴田勝家か。
 といっても、わが家がそんな由緒正しい武家というわけではない。いわゆる田舎の農家だが、なぜ雁紋を用いるようになったのかはわからない。
 個人的な感想としては、「ちょっとかわいかったからじゃないの?」と思う。おどけた表情も、丸い体もなかなかどうして憎めない。
 そう思ってよくよくこの鳥ちゃんを見れば、どことなく私に似ているような。ほうけた顔。くるっとしているのは悩みのくせ毛か。かくいう私は決してかわいくないのですけどね。
 奥が深くて面白い。みなさんもご自身のシンボルを調べてみられては?(森田靖久)

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