命がけの競技

2013.06.20
未―コラム記者ノート

 丹波市立神楽小学校教諭の近藤公範さんが監督を務める、小野市を拠点に活動する電動車いすサッカーチーム「Red Eagles兵庫」が、初めての海外遠征のカナダの大会で優勝した(16日号「時の人」参照)。
 選手は、頚椎(けいつい)損傷や筋ジストロフィーなど、重度の障がいがあり、首から上が動く人はあごで、かすかに手が動く人は指でコントローラーを操り、電動車いすを操縦する。カナダ・バンクーバの試合会場は、五輪で使われた体育館。冬のような寒さで、ただでさえ可動域の少ない選手の手足をかじかませた。カイロやタオルで直前まで温めて戦ったそうだ。
 取材中、近藤さんから「選手は命がけ」という言葉を聞いた。試合で電動車いすどうしが激しくぶつかった時、倒れないように体を動かしてバランスを取ったり、倒れる時に手をついて体をかばうことが、障がいのためできず、頭を打つ危険性がある。熱くなる選手に冷静さを取り戻させることも監督の役割の一つで、全員無事に帰国させることができ、ほっとしたという。優勝を成し遂げた選手と監督を心から祝福する。(足立智和)
 

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