月あかりに想う

2014.10.11
未―コラム記者ノート

 8日はすっきりとした雲のない夜空で、皆既月食の天体ショーを楽しまれた方も多かったと思う。私もところどころだが、家族と一緒に見上げ、月が欠けていくのは地球の影なんだなぁと思いながら眺めた。目の前の月は「宇宙」に浮かんでいて、同じように今立っている地球も浮かんでいるんだと思うと、不思議に思った。赤い色の月は、やはり少しこわさも感じた。
 先月は中秋の名月があり、今月の本紙文芸欄には、月を題材にした俳句や歌が多く登場している。中でも、月を見ながら8・16豪雨災害の被災地に思いを寄せているものがいくつもあるのが心に残った。
 「悪夢去り満月の光注ぎいる山と積まれし廃材と土砂」は、被害の大きかった市島地域の方の歌。柏原で行われた俳句会では「避難所の窓を照らせよ今日の月」「被災地の復興願う月明かり」「雨・風の爪痕癒やす良夜かな」などの作品が選に入っていた。
 月を見ていると、日常生活からふと距離があき、静かに祈りを届けたいような気持ちになるのかもしれない。それぞれどういう心情を月のあかりに託して詠まれたのか、と思う。(古西 純)
 

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