気持ちがほっこりとする写真がずらり―。今月末まで、篠山市大山宮の玄米食カフェと古道具の店「白椿」で、京都府八幡市在住のアマチュア写真家、米田祐二さん(23)の個展が開かれている。
米田さんは自閉症のため、自己アピールや抽象的な会話、記憶の整理が苦手という。取材のため、米田さんとお出会いしたが、名刺を手渡すなり、いつも携帯しているというコンパクトデジタルカメラでパチリと撮られた。なんでも、写真に撮ることによって記憶の整理ができるのだという。片手でさっと構え、間髪入れずにシャッターを切る。「どんなふうに写ったのかな」と画面をのぞいてみると、いつもは仏頂面で写ってしまう自分なのだが、思いのほか柔和な表情だったことにびっくり。
これが世に言う「祐二君の魔法」というやつか。
米田さんは、我々のように構図がどうとか、露出がああだとかは考えず、「ビビッ」と感じたら速写。何気ない景色や一瞬を立派な作品にしてしまう。「感じるままに」。米田さんは写真という表現方法を用いて、私たちに自身の思いや感情を饒舌(じょうぜつ)に語りかけてくる。(太治庄三)