食育を取材し反省

2017.03.09
未―コラム記者ノート

 神戸大学名誉教授の保田茂さんは、篠山市内のたき幼稚園で講演した際、子どもに家事を手伝わせることの重要性を説いていた。家事の中で、大事だけど簡単なのがご飯を炊くことで、上手に炊くための工夫が、次第に考える力“脳力”を付け、好奇心を旺盛にする。学力も、子ども自身に勉強しようという意欲がないと伸びない。家事の分担は意欲を磨くことにもつながる、と話した。
 篠山市のかやのみ幼稚園は食育を日常に溶け込んだものにしようと、その日の給食献立を拡大コピーして園児の目の高さに掲示し、食材の名前や味を意識するよう工夫したり、マナーを身に付けるために「おはし名人決定戦」を開くなどの新しい取り組みを始めた。
 「食育」は、子どもたちに向けた取り組みであるのに、取材するたびに耳が痛い。保田名誉教授は言う。「『危ない』『汚れる』と言って、その好奇心を生かさないのは親の責任だ。忙しい時は『ごはん炊いといて』と頼めばいい」と。台所が、親を対象にした子育ての教室のように思えてくるのだ。(芦田安生)

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