獣害対策の一手

2017.07.13
未―コラム記者ノート

 夏野菜の収穫シーズンだが、「サルやシカなどとの戦い」という声を耳にする。そんなおり、7月10日付のあやべ市民新聞の1面に「シカ、サルよけに効果あり、13体の人形設置後は寄り付かず」という見出しが目についた。
 記事によると自営業夫妻が自宅の畑や植林地に設置したところ、獣害がピタリとやんだという。13体の人形は日常生活の様々な場面が再現され、見る楽しみもあるようだ。
 獣害は農家にとって深刻な問題。スイートコーンがヌートリア被害にあった人は、「おいしい物は本当によく知っている」と舌を巻く。「人間は、金さえあればスーパーやコンビニで物が手に入る。動物はそうはいかない。生きるために必死なのだろう」と思ったりする。29連勝記録達成の中学生プロ棋士、藤井聡太四段のように「決めの一手」はなかなか見つからない。
 獣害対策は、地域を越えた共通の課題。人形を人と勘違いさせ、追っ払う方法は面白い。永続的効果はわからないが、獣害を逆手に取って、みんなで仕掛けを作りながら知恵を絞るのも一考かもしれない。「知恵比べ互いに譲らぬ畑の中」
(臼井 学)

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