江戸時代から続く篠山市の地方卸売市場「篠山魚市場」が3月末で閉場する。大型スーパーの進出、生産者、仲買人の高齢化と後継者不足―。閉場の引き金には現代の地方の課題が集約されていた。
また流通が多様化し、誰もが好きな場所で好きなものを買えるようになった時代。関係者は、「卸売市場というモデル自体が成り立たなくなってきている」と語った。
しかし、黒大豆に山の芋、栗など、農業を売りにし、「農の都」とまでうたう篠山市で、貴重な出荷先が消える状況は大きなショックとともに違和感を覚えた。
その後、生産者や仲買人の有志によって、新しい市場を設立する動きが生まれ、市もそれをバックアップする方向に向かっている。小さくても「市」を続けてほしい。
いずれにせよ、篠山の農は危機的な状況にある。そんな中でわき上がる市名変更問題。「危機だからこそ変えてテコ入れする」のか、「他にやることがあるのでは」と捉えるか。個人個人の考え方の違いになってくるが、単純な名前の議論ではなく、まちの今と未来を考える議論になることを願う。(森田靖久)