無くしたカギ

2018.04.12
未―コラム記者ノート

 「中学生5人が遊びに来た。帰る頃になって、そのうちの1人が自転車のカギを無くしたことに気付いた。なのに、そのうちの3人はさっさと帰っていく。もう1人は少し捜してあげていたが、やはり帰っていった。そらぁ用事もあったかもしれないけれど、あまりにドライな関係性に唖然とした」

 篠山市のNPO法人「結」が運営する手作りの遊び場「遊び村」を訪ねた際に、法人理事長の井上一休さんに聞いた話だ。「子どもも大人もスマホばかりが気になり、他人に無関心。人間関係が本当に難しい時代が始まろうとしている」と警鐘を鳴らす。

 友だちが困った時は、みんなで助け合うのが“青春の1ページ”だった。人間関係が希薄になった、自己責任だと言えばそれまでだが、言いようのない怖さを感じた。

 自分の子は、友だちがカギを無くした時に、見つかるまで一緒に捜したり、何か他の解決策を考えようとするだろうか。本物の人間関係をつくる術や、相手を思いやる心の素地が育っているだろうか。

 新学期が始まった。子どもたちには一生の友を見つけてほしい。(芦田安生)

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