「地病地療の拠点に」待望の新病院完成 内覧会に市民1000人超参加

2019.06.25
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医療センターの手術室を見学する市民たち(左)=2019年6月15日午後1時30分、兵庫県丹波市氷上町で

ともに兵庫県丹波市柏原町内にあった県立柏原病院と柏原赤十字病院が統合し、7月1日に同市氷上町で開業する県立丹波医療センターと、隣接する同市健康センター「ミルネ」の完成式典と内覧会がこのほど開かれた。式典には関係者ら約180人が、内覧会には事前に応募した市民ら約1000人が参加し、施設内部を見学した。

テープカットで開院を祝う井戸兵庫県知事(左から4人目)ら=県立丹波医療センターで=2019年6月15日午前10時30分、兵庫県丹波市氷上町で

式典はテープカットに続き、主催者の井戸敏三県知事があいさつ。「県立柏原、柏原赤十字両病院の機能を引き継ぐとともに、総合診療医の育成拠点など多機能の中核病院になる。丹波のみなさんに活用いただかないと機能を果たせない。みなさんと連携し、共に成長し、愛される病院に」と述べた。

谷口進一丹波市長は、「単なる複合拠点病院の完成でなく、地方創生のシンボルができた。まちづくりのきっかけにしたい」と喜び、「地域の病気は地域で治す『地病地療』を推進し、市民が力強く支えていくことを誓う」とあいさつした。

新病院の院長に就任予定の秋田穂束氏と、新病院の幹部たち

また、医師会や県内の医療関係者のほか、医師不足などにより、窮地に立たされた時に同病院を支えた県立柏原病院の「小児科を守る会」の浅井裕子さんや、丹波医療再生ネットワークの青木潤さん、病院ボランティア「オオムラサキ」の荻野美代子さんら市民も招かれた。

同医療センターは320床。開院時は238床。急性期から回復期、緩和ケアまで病状に応じた医療を提供するほか、隣接する「ミルネ」が1次診療機能や、健診機能などを担い、タイアップして地域包括ケアシステムの中核として機能することをめざしていく。

2006年の初期研修医の臨床研修制度の変更に端を発し、2病院の医師数が大幅に減り、診療機能が低下。経営も悪化した。14年に両病院の統合再編基本方針が示され、15年に基本計画ができた。着工は17年。「ミルネ」と並行で整備を進めた。両施設(病院181億円、ミルネ約26億円)と市立看護専門学校(約16・5億円)で事業費は約223・5億円。

掲示された医師名簿を見る人たち=2019年6月15日午前10時30分、兵庫県丹波市氷上町で

午後から行われた内覧会には、定員の500人を大きく上回る365組1172人の応募があり、全員を受け入れた。参加者は30以上の班をつくり、20分刻みで見て回った。

診察室やMR室、救急外来、病室、手術室などを順に見学。医師や職員が各部屋の役割や最新機器などを紹介し、参加者も積極的に質問を投げかけていた。ドクターヘリなどが着陸できる屋上のヘリポートも見学した。

参加した同市春日町の女性(66)は、「通路が広く、明るい印象。病室もプライベートが確保されていると感じた。お世話にならないことに越したことはないが、安心して通院できそう」と語った。同市氷上町の女性(79)は「広くて迷った。最新の設備も入っていて、便利だとは感じた」と話していた。

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