相続した空き家、相談乗ります 業者紹介や自身で買い取り 45歳宅建取引士が起業

2020.01.25
ニュース丹波市地域地域

相続した空き家の相談事業を行っている西垣さん。この物件は、県外に住む相続者から3回忌の法要が終わるまで維持管理を頼まれ、法要後、西垣さんが引き取ることになっている=兵庫県丹波市内で

兵庫県丹波市在住の宅地建物取引士・西垣雄一さん(45)が、「相続した空き家の相談所」の屋号で、空き家対策を専門とする相談所を立ち上げている。家屋を相続したものの、持て余している人の力になろうというもので、「売りたい、貸したい人」には不動産業者を、「解体したい人」には解体業者を紹介するほか、所有者が「持っているのが負担。引き取ってほしい」という物件は自身が引き取り、賃貸、売却する。「家として機能する物件は機能させたい。丹波市の空き家をゼロにすることに挑戦する」と意気込んでいる。

総務省が昨年発表した2018年10月時点の住宅・土地統計調査によると、日本国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13・6%で、戸数も最多の846万戸になった。地方を中心に人口減少などで空き家が増えている。

西垣さんによると、兵庫県内陸部に位置する丹波市も全国の地方と同様。実家を離れ、都市部など別のところに住まいを持つ人が、親の死などをきっかけに実家を相続するものの、自身が帰郷して暮らすことはできず、この先、誰かが住むあてもなく、かといって壊すにはしのびない。そんな活用されていない物件が多くあるという。

西垣さんは不動産会社勤務を経て独立。「『雑草が繁ったら』『屋根瓦が強風で飛ばされたら』と離れて暮らす所有者で近所迷惑を気にする人は多い」と言い、「相続した人の気苦労、責任を取り除き、雨漏りなどがしない『家としての機能』が維持されているうちに、誰かのために物件を役立てられないか」と、相談所開設を思い立ったという。

所有する物件を賃貸、売却したい人には不動産業者や丹波市の空き家バンクに、解体したいという人には解体業者に、解体後の土地で太陽光発電をしたいという人には太陽光発電業者につなぐという。

また、「金額はいくらでも良いので処分したいという人の物件で、家として継続して使えそうなものは、私が買い取り、所有権を移して登記し、私の持ち物として活用を考える」と言う。

西垣さんは田舎暮らしを希望する人に自身が所有する物件を貸したり、売却することで収入を得る。不動産仲介業はせず、紹介手数料は取らない。相談は無料。

「解体が前提でないならば、雨漏りがしないうちに処分方法を考えた方がいい。解体にも、家の中に置かれたままになっている物を片付けるのにも業者に頼むと、費用がかかる。相続した家をどうしたいのか相談の上、じっくり考えてもらえれば」と話している。

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