景観重要建造物に指定 庄屋として栄えた古民家 旧国の伝統的構造評価

2024.03.24
地域歴史

県の景観形成重要建造物に指定された本上田邸を背に、指定書を手にする上田さんと、住人の渡辺トモコさん=兵庫県丹波市春日町棚原で

地域の景観形成に重要な役割を果たしているとして、兵庫県は、丹波市春日町棚原の築約130年の古民家「本上田邸」を「景観形成重要建造物」に指定した。丹波地域の伝統的な住居の構造と、樹齢約450年の立派なクスノキが、地域の中心を担う庄屋として代々栄えたことを今に伝えていると評価された。

母屋は妻側に玄関がある。旧摂津、丹波国の民家と、篠山城下町の町屋の特徴を兼ね備えており、歴史的にも重要な構造。虫籠窓や千本格子など、随所で意匠が凝らされている。

2014―15年にかけ、現在の当主・上田正三さん(80)が地域活性化の拠点にしようと、空き家になっていた本上田邸の改修を行った。

改修後は、希望者が暮らしながら、住民らが交流できる場として開放。現在は、ヨガ講師の渡辺顕さん(56)、トモコさん(53)夫妻が暮らし、ヨガ教室を定期的に開催している。盆栽展や餅つき大会など、日本の伝統文化を体験できるイベントも催している。

トモコさんは「日本家屋に住む人が少なくなっている中で、『おばあちゃんの家に来たみたい』と郷愁を感じながら、落ち着いてもらえている」と話す。

上田さんは「祖父の遺訓である『家を絶やさず、地域の繁栄に尽力する』が根底。本上田邸のホームページを公開し、棚原の情報を発信していきたい」と力を込めた。

今回、本上田邸を含めて6件を指定。指定件数は127件、丹波市内では8件となった。

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