特養でも”大相撲初場所” 入所者のために職員ら奮闘 女性力士ががっぷり四つ

2020.01.25
ニュース丹波市地域地域

力士の着ぐるみを着て、名勝負を繰り広げる女性職員たち=2020年1月24日午後3時30分、兵庫県丹波山南町野坂で

兵庫県丹波市山南町野坂の特別養護老人ホーム「山路園」(澤村安由里施設長)で24日、同施設の女性職員たちが力士に扮して相撲を取った。相撲好きが多い入居者らを喜ばせようと、4年前から始めた催しで、「山路園新春場所」と銘打ち、大相撲初場所の時期に合わせて毎年開いている。

今年も力士に扮した女性職員6人が、エントランスにこしらえた土俵にあがり、熱のこもった取り組みを披露。車いすに乗った入居者ら約50人が土俵を取り囲むようにして観戦した。

続いて6人の力士が土俵入り。これまでは“らくだのももひき”の中に詰め物をして力士に扮していたが、今年は力士の着ぐるみを新調。まげのついた手作りのかつらをかぶった力士たちが、少し恥じらいながらも、がっぷりと四つに組んだ名勝負を繰り広げた。

入居者らは、「がんばれー」と声援を送ったり、勝負がつくと拍手で健闘をたたえた。

大相撲をテレビで観戦して喜ぶ入居者らの姿を見ていた職員たち。「入居者を楽しませたい」と数年前、力士がちゃんこ鍋を作ってくれる企画を知り応募したが、あえなく落選した。

「かといって、入居者を観戦に連れていくこともできないし、さて、どうしたものか」と考えていた時、ある職員が「それならば自分たちで場所を開こう」と提案したことが始まりという。

昨年はインフルエンザの流行で場所を開けなかったが、毎年、入居者が心待ちにする同施設の名物行事となった。

2年前に入居し、今年初めて観戦した82歳の女性は、「大変立派な取り組みでした。いつもは優しい職員さんだけど、きょうは勇ましかった」とほほ笑んだ。

見事、新春場所を制した後藤早果さん(28)は、「投げ技が決まり、気持ちよかった。みなさんに喜んでもらえて何よりでした」と汗をぬぐっていた。

関連記事